大泉洋 主演ゾンビ映画「アイアムアヒーロー」ポスター
日本のゾンビ映画では観ておくべき作品 大泉洋主演のゾンビ映画
日本のゾンビ映画の中では郡を抜いて出来がいい。あまり制作費がない映画のゾンビというと、顔を緑色ベースで塗って、おでこ辺りから血が垂れているかなという感じの造形メイクなんだけど、この映画に出てくるゾンビはみなそれぞれ違うし、ちゃんとしている。
片瀬那奈さんが演じるゾンビも、こっちの予想を超えた顔の造形、そして動きも足を引きずって歩いているというどころではない動きで近づいてくる。
この映画のゾンビは顔だけではなく、体の変化、理性で動いていない動きを見せてくれる。
そういえば、この映画に出てくるゾンビは、ZQN(ゾキュン)という表記になる。DQN(ドキュン)とゾンビの造語だ。
映画前半、街中でやたら現れてきて、その中で状況が判断出来ず逃げまとう主人公の大泉洋氏。絵としては長回しにて、街がいきなりゾンビだらけになり大変なことになっているということを大泉洋氏と一緒に体感できるいいシーンだ。あの市街地でのロケシーンは静岡県の浜松市がロケ地だそうな。綺麗な街だった。綺麗な街ほど異形のものが出てきたらワラワラ出てきたらメリハリある。
そういえば、リメイク版の『ドーン・オブ・ザ・デッド』も、主人公が目覚めたら豹変した(ゾンビ化)旦那に襲われ、必死で逃げたらご近所がゾンビだらけになっており、逃げまとう人々、追ってくるゾンビという世界が一変したシーンに主人公が放り込まれるという絵があった。このシーンにも似ている。
ハリウッド映画のように、拳銃をパンパン撃ってゾンビを退治するのではなく、銃砲刀剣類所持等取締法を守って、なかなか大泉洋氏が猟銃を使わないというのも日本らしくて、いい味出している。
原作の漫画も全巻読んだけど、1巻の「うだつの上がらない漫画家志望の人の話かな?」と思わせといて、1巻の最後の話でガラッと世界が崩壊し始める展開はすごいなと思った。
最終巻というか最終話は、事態自体の根本的解決はされなかったんだなという感想。
だいたいのゾンビ映画がそう。解決はされないけど、最後に「死者の夜明け」ではなく、「主人公の夜明け」になれば、ゾンビ映画はいいと思っている。たった一人の人間でその世界全体を救うのは不可能なんだから、目標としては大事な人を守りきるということになるだろう。